久川颯の時計の針が動き始めた話

 おはこんばんちは。サマーサイダーのコミュに情緒を破壊された久川颯Pのkotonariと申します。今回は、久川颯に興味を持ってくれた人(主にサマーサイダーで)に向けて、これまでの久川颯と、今の久川颯がどうなっているのかがわかるように、デレステのコミュをベースに書いていきたいと思います。なお、あくまで久川颯を中心として書いていきますので、凪を始めとした関わりがあるアイドルについてはあまり触れていませんのでご了承ください。また、久川颯に関するコミュのネタバレを大いに含みますので、これから自力で見るんだ!という人はここで引き返してください。

 

 まず簡単に久川颯のプロフィールから。久川颯は徳島県出身の14歳、趣味はファッションで、オシャレが好きなイマドキっぽい女の子です。

[O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!]久川颯+

 そんな颯は双子であり、双子の姉の久川凪と一緒にアイドルデビューしました。颯は「みんなに好きと言われたい」という理由でオーディションを受け、審査員からの評価はあまり良くなかったものの、プロデューサーにより合格となりました。ちなみに凪はそのオーディションの裏で半ばプロデューサーからのスカウトのような形でアイドルになっています。

久川颯メモリアルコミュ1内オーディションのシーン

 そして、颯と凪の二人のユニット「mirror(ミロワール)」としてデビューが決まります。ユニットとしての曲作りに取り組んだり、先輩アイドルに助けてもらったり、「双子離れ」を経験したりしながら、無事、楽曲「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」をリリース、アイドルデビューとなりました。

どんな曲にしたいかを聞かれた時のワンシーン

思えば乙倉ちゃんとの繋がりもここからでした

…えっ?悠貴さん、土をこねて焼いたことがないんですか?岡山生まれなのに…。

凪の妹離れ。夢のマイルーム、一人暮らし。

いつも一緒にいた凪がいない不安

「双子の久川姉妹」から「アイドル久川颯」「アイドル久川凪」として歩み始めます

 そんな「アイドル久川颯」の、凪と一緒じゃない初めてのお仕事として、ポップをテーマとしたライブの宣伝をするお仕事をすることになりました(メタ的には7thライブの幕張公演のテーマ曲「Comic Cosmic」の歌唱メンバーになりました)。このお仕事を通して、アイドルとしての自分の個性とは何か、という課題に悩むことになりますが、「強烈な個性はないけど、ザ・正統派でポップなアイドル」である、ということで解決となります。

まだまだ「双子離れ」しきっていない一幕も

「アイドル久川颯の個性」とは

凪がいない中でどうやっていくのか

「正統派」も、突き詰めれば一つの個性に

余談ですがこのComic Cosmicイベントのエンディングコミュで颯が合宿に連行され、無事イベント2連走になったのは一生許さん

 その後しばらくが経ち、事務所をまたいだ合同楽曲の歌唱メンバーに事務所代表として選ばれました(メタ的にはアイマス16周年記念楽曲「VOY@GER」のシンデレラ組の歌唱メンバーとして選ばれました)。これに際してエゴサをする颯ですが、「颯だけ浮いている」というネットの書き込みを受けて、自分がこの曲を歌う理由を探すことになります。他アイドルとの交流を経て、「もっと多くの人に自分のことを知ってもらって、もっと多くの人にかわいいといってもらう」ことを目標としました。

これ書き込んだオタク一生ゆるさん

「外から与えられた理由」はこうだけど…

颯は「自分のことをもっと多くの人に知ってもらいたい」

そして「もっと多くの人に可愛いって言ってもらいたい」

 ここまで、様々なユニットとしての活動を経験してきた颯ですが、ついに颯一人での仕事、「ソロ曲」をもらうことになります(THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 062 Packing Her Favorite(以下PHF))。これまでの、様々な背景があってユニットとして取り組んできたこととは異なり、颯だけの曲である、ということを踏まえ、颯自身が何をやりたいか、とプロデューサーから問いかけられます。これに対し、これまで交流を持ってきた様々なアイドルに相談しながら、颯は「みんなに好きになってもらうために歌う」と答えを出し、これで解決。

颯のための曲だからこそ、颯はなにをやりたいのか

他のアイドルに認めてもらえるほど歌もダンスもできているけど…

他人ではなく、颯はなにをやりたいのか

オーディションからこれまでも何度も言ってきた「みんなに好きになってもらいたい」

 …そう、これまではこれで解決していた。できてしまっていた。理由としてはそれっぽく、これを原動力としてアイドルとしてやってこれていた。でも、”それっぽい”だけ。結局は、他人からの評価を気にして、他のアイドルと比較しているだけ。アイドルとしては当たり前でありきたりであり、自分の内側から出てきたものとは言い切れない。ここでプロデューサーは一歩踏み込む。

これをユーザーに押させるのは中々残酷だと思った

そう、オーディションでも同じように言っていたが、続きがあったのだ

 ここで冒頭のオーディションのシーンを見返してみてほしい。最後に「けど、本当は」と続いているのである。このシーンはここまでで終わってしまい、続いてなにを言ったのかはわからない。このコミュが出た当初は、多くの人が凪のことに言及したと思ったであろう。私もその一人だ。しかし、実際は違ったのだ(こんな叙述トリックがあってたまるか)。

ほんとは…

自分に好きって言われたい

自分を好きになりたい

 あれだけ自分に自信があって、何でもできると言ってきた久川颯は、実は自分に自身が持てない14歳の女の子だったのである。…このPHFコミュを見た当時、私は頭を抱えました。ほぼデビュー当時から担当Pをやってきていましたが、全くこのことに気づけていませんでした。きっと、久川颯は、あまりにも個性的な凪とは対象に、元気でかわいくてポップで正統派なアイドルとしてやっていくのだろう、そのどこまでも自信満々な姿が良いアクセントになるのだろう、そう思ってきました。でもそれは、ある種の願望であり、強がりだった。いや、きっとある程度なんでもできるのはその通りで、だからこそ、気づけなかったのだろう。こんなことにも気づけないで、私は担当Pをやっていていいのだろうかと、本気で悩みました。でも、ここまで担当Pを名乗ってきた責任として、この結末は最後まで見届けないといけないと思い、コミュを読み進めます。

結局ちゃんとした答えは出ないまま

答えが出なくても、探し続けることが颯自身を変えていく

おそらくシンデレラマスターでは珍しい「曲がアイドルを引っ張る曲」

結局、いい感じにできてしまう

結局こうなってしまった

「できる子」であることは間違いないが…

ほんとうは…?

 結局今回もいい感じにできてしまい、答えは出ないままこのコミュは終わります。ソロ曲のコミュなのに、お話としては未完結なのです。こんなことがあって良いのか。完全におあずけを食らってしまい、どうやらこの結末を見るためにはまだしばらく担当Pを続ける必要があるようです。そして、当時のわたしはこんなことを思っていました。

 「きっと、そう遠くない内に乙倉悠貴がからむユニットでイベントが来る。そのコミュで、答えまで行くかはともかく続きが見れる。」

 久川颯と乙倉悠貴は、デビュー前に交流を持って以降、定期的に絡みがあり、界隈でも一大カップリングとなっていました。きっとこれは意図したものだろうと思っていましたし、実際よく似合ったコンビだと私も思っていました。だからこそ、「アイドル久川颯」に一番長く接してきた乙倉悠貴とのコミュがきっと大きなカギになる。そう思っていました。

 そうして迎えた7月中旬。楽曲「サマーサイダー」のイベント告知。歌うのは久川颯と乙倉悠貴からなるユニット「Sola-iris」。そう、ついに来てしまったのです。

 颯は、清涼飲料水のCMソングとして、乙倉ちゃんとユニットを組んで歌うことになります。いつも通りレッスンをこなす颯ですが、それっぽくはできているものの、細部を見ると至らない点がいくつも見えてきます。それは、同じ正統派でありながら、アイドル歴は自分より長く、身体能力も上で、自分より真面目な乙倉ちゃんと並んで立ち見比べるとより顕著に見えてしまいます。いわば「上位互換」な乙倉ちゃんを前にした時、颯は自信を失ってしまい、ついにはレッスンをサボりアイドルを辞めるかどうかの瀬戸際まで来ます。

どうしても乙倉ちゃんと見比べられてしまう

方向性が同じアイドルだからこそ、明確な壁として立ちふさがる

自分でも自分を乙倉ちゃんとくらべてしまう

一方凪は個性派としてうまくやっている

個性派ではなく、かといって正統派にもなりきれない

レッスンをサボり、自信も無くしてしまう

みんなそれなりに認めてくれるからこそ、誰にも頼れない

助けてカリスマギャル!

 美嘉に声をかけられた颯は、思いを吐露します。

颯は個性派ではない

でも正統派にもなれない

 ここで美嘉は、「他人と比べてばかりだけど、自分は自分をどう思っているのか」と問いかけます。しかし、颯は「いつも凪が隣にいて、凪とくらべてきたからわからない」と答えます。

他人と比べるのではなく、自分はどう思うのか

双子だからこそ、他人からも比べられるし、自分でも比べてしまう

 自分に自信が持てない、だからアイドルの才能が無いという颯に、美嘉は「誰かを笑顔にしたらアイドルだし、何かになりたいと思っている子はアイドルの才能がある」と答えます。しかし颯は「誰だってそうだ」と切り返し、結局答えは出ないまま。

O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!のコミュでも同じ話題が出ています

「何かになりたい」と思っている子はアイドルの才能がある

ここでこう切り替えせるのは、アイドルモノとしてはかなり攻めてると思いました

 ここからプロデューサーがめっちゃ喋ります。基本的には作中プロデューサーはユーザーが没入しやすいようにあまりしゃべらないのがデレステのコミュですが、このコミュ(およびPHFコミュ)ではめちゃくちゃ喋ります。

喋る

まだ喋る

まだまだ喋る

もっと喋る

もっともっと喋る

お話が長いよー

 これは、明確に運営からの久川颯に対するこれまでの答え合わせでしょう。性格も良く、なんでもそこそこでき、双子だからこそ凪と比べられるし比べてきて、凪ができないことができたり、周りよりちょっと優れていれば周囲から認められ、自分もそれで満足していた。だからこそ、アイドルという今までとは比較にならない壁に当たったときに、それを乗り越えられなくなってしまった。これは、乙倉ちゃんに対してもだし、凪に対してもそう。そのときに、壊れきってしまわないように、ユニットとしての繋がりと経験を増やしてきた。そして今、その壁にぶつかった。

 サマーサイダーコミュからは少し離れますが、過去のコミュを見ると実際颯は他人、特に凪と自身を比較し、その評価を気にして、他人の期待に応えることを第一に動いている節が多々ありました。前述のO-Ku-Ri-Mo-No Sunday!やComic Cosmicのコミュでもそうですし、その他のコミュでも散見されます。

メモリアルコミュ2。プロデューサーの期待に応えるために(おそらく凪から)予習をしています。

この姿勢に対しプロデューサーは課題があると言います

メモリアルコミュ3。宣材撮影も凪から予習済み。

プロデューサーからのCu、Co、Paの指定に応えます(画像はCo選択時)

周囲の期待に応えようとするからこそ、一定の結果は出るものの平凡になってしまう

[O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!]久川颯 特訓コミュ

[Comic Cosmic]久川颯 特訓コミュ

同じく[Comic Cosmic]久川颯 特訓コミュ

PHFコミュ冒頭。プロデューサーからの期待に応えようとしています。

 この問題についてはおそらくプロデューサーはオーディション時から気づいています。

颯の良さのもう半分とは

 これは、当時は双子の凪のことを指していると思われていたでしょうし、今でもその解釈でも間違いではないと思います。人によって分かれるところでしょう。しかし、この前にPHFコミュでの「ほんとは…」の続きのくだりがあったことを踏まえると、まだ自分を出し切っていないことからくる発言であった、と今なら解釈してもいいのかな、と私は思います。

 未だに答えが出せない颯はプロデューサーに問い詰め、プロデューサーは「アイドルは結果だけでなく過程に輝きが現れることもあり、それが颯である」と答えるも、颯は納得できないまま。本番を控え、「いい感じにやる自信はある」とは言うものの、周囲からの期待と自覚との差に押しつぶされてしまいそうになる。

結果がすべてではない

やはり結果と周囲からの評価を気にしてしまう

もはや限界ギリギリ

 CM撮影本番を控えた朝、乙倉ちゃんは颯を元気づけるためにランニングに誘います。それはやはり颯にとっては辛いものであり、ついに感情があふれ、弾けてしまいます。

アイドルは、つらい

あふれてはじけた

颯が柄にもなく他人を責める

アイドルとはなんなのか

「他人の言葉」で踏ん切りをつけようとする

このたった一言の演技が凄まじくて鳥肌が立った

ここで折れないのは颯の強さであることは間違いないでしょう

「他人から」ではなく「自分から」出た、なりたいもの

心からの叫び

今すぐに「できた」結果を求めるのではなく

これから、「できるようになる」ことを目指す

 明確な答えが出たわけではないにせよ、間違いなく、「自分の言葉で」、「自分の足で」、前に走り出した久川颯は、まさに、アイドルとして動き始めたと言っていいでしょう。

ライブ本番を控え、わからないながらに前に進むと決めた颯

誰かの言葉で決めるのではなく、自分で前に進む

自分で見つけた、久川颯の「アイドル論」

 ゲームへの実装から3年と3ヶ月、ようやく、久川颯のプロローグが終わり、アイドルとして本格始動しました。やはりPHFとサマーサイダーのコミュがとても大きく、ここを踏まえると実装当時から一本の筋が通ってはいたんだな、と思いました。

 まとめに入ります。久川颯は、双子としての久川颯からの(いい意味での)脱却と、アイドルとしての久川颯の確立という、2つの面から、14歳特有のアイデンティティの獲得と成長をストレートに追うことができます。この”追える”というところが中々他のアイドルにはない特徴かな、と思っていて、シンデレラガールズのアイドルの中では最も後の実装であることも含め、明確に、リアルタイムで成長していく姿が描かれているし、追いやすいと思います。また、凪も含めて双子としての描写もとても丁寧に行われており、筆者自身双子であるのですが、その筆者から見ても、双子だから比較されやすいこと、双子だからといってなんでも同じとは限らないこと、双子だからこそお互いを(下手したら親以上に)だれよりもよくわかっていて気にかけていること、双子でも相手に譲れないことや不満を抱いていることもあること、色々あっても結局また双子としてお互いの帰ってくる場所になること、あたりは良く描写されているな、と思います。総じて、ありきたりな表現にはなってしまいますが、とても魅力的なアイドルであると、自負しています。この記事を読んで少しでも颯のことが気になっていただけたなら、ぜひ、今後も気にかけて応援していただけたらうれしく思います。また記事投稿時点ではだいぶ先ではありますが、Stage for Cinderella(旧シンデレラガールズ総選挙)では23年3月27日から投票開始のDグループ(一番実装が最後の颯がStage for Cinderellaの組分けでも最後まで残るというちょっとしたドラマ)に参加していますので、その時になってこの記事やPHFやサマーサイダーを思い出していただけたなら、1票でも構いませんのでお気持ちをいただけたらとても嬉しく思います。何卒これからの久川颯をよろしくお願いします。

14平米にスーベニアには夢と現実が詰め込まれている~試聴から14平米とスーベニアの謎に迫る~

本記事を読む前に下記記事を読むとより理解が深まるかもしれません(ニコニコのブロマガがサ終するとかしないとか見た気がするのでいずれこちらのブログに移植するかもしれません)

t.co

 はじめまして(当時上記記事を読んでくださった方はお久しぶりです)。アイドルマスターシンデレラガールズにおいて早坂美玲、久川凪、久川颯の担当Pをしています、kotonariと申します。昨年の早坂美玲に続きまして、今年のシンデレラマスターで久川凪がソロ曲を頂き、担当が二年連続シンデレラマスターに参加することとなりました。そんな久川凪のソロ曲「14平米にスーベニア」の試聴が公開され、とても良い曲だったのでいてもたってもいられず記事にしたためました。

 まず14平米にスーベニアってなんやねんという話。担当の私もなんやねんってなりました。14平米は部屋の面積を表しており、14㎡、4m×3.5m、ワンルームくらいの広さですね。次にスーベニア。直訳すればお土産とか贈り物ですね。じゃあプレゼントとかギフトとどう違うのかというと、お土産の中でも特に自分に向けた、思い出を残しておくためのものを指したり、あるいは贈り物としてもやはり貰う側の記憶に残してもらうことを意図したものを指すらしいです。なるほど。じゃあなぜこの2つの単語が「に」でつながっているのか。まだこれだけではわかりにくいですね。普通は部屋に贈り物はしませんからね。これはもう実際に歌を聴いて考察していくしかありません。

 

youtu.be

 というわけでここからはぜひ試聴を裏でリピート再生しながらお読みください。さてこの曲、大筋としては初めて上京した女の子がワンルームを借りて一人暮らしを始める様子をポップにラップ調で表した曲です。音楽はあまりくわしくないので音楽に関する考察解説は諦めます。上京した女の子はワンルームを借り、初めての一人暮らし、初めての自分だけの部屋。さあ部屋に自分の好きなものを置くぞと意気揚々と初めての一人でのお買い物に行きます。おそらくこの女の子は家族と中がよく、ずっと何をするにも家族と一緒だったのでしょう。そんな初めてのお買い物、欲しい物を何でも買う…とはいきません。なぜならお小遣い制だから。親にねだれば買ってもらえた環境とは違います。中々思うように部屋を飾れない女の子。どうするか。カメラを片手に散策に行きます。お散歩カメラの波動を感じますね。季節外れの桜が咲く中、猫と遭遇。ライティングを確認し、しっかり被写体にも了承を取ります。猫に了承とる女の子。かわいすぎますね。そんな猫ちゃんのあくびの瞬間をパシャリ。こうして街角で撮ったスナップ達をお土産として部屋に持ち帰り、飾ってあげるわけです。本当は色んなものを買って帰って飾るはずが、結局いくつか写真を飾るのが精一杯。写真がお土産であることやまだまだ余白だらけの部屋につい笑ってしまうわけですが、まだ余白だらけであるからこそ夢も、そして現実もこれから詰め込めるんだ、と一番は終わります。

 なんならもうこの時点でなんとなく泣いてしまいそうですが続けます。ここでタイトルを振り返ってみるわけですが、14平米とは女の子が借りたワンルーム、スーベニアとは持ち帰った写真達。これから一緒に生活する相棒とも言えるワンルームに、お土産として写真を飾るから「14平米にスーベニア」というわけですね。新生活だからキラキラしてるだけでなく、一人暮らしになって変わった生活や、一人暮らしを始めたてで余裕がない様子、そんな中でも工夫して自分らしく生きていく様が、明るく可愛らしい中にもどこか切ない曲調で表現した名曲だと思います。

 では、この曲を凪が歌うことにどんな意味があるのか。O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!という曲でデビューした凪が「贈り物」の意味を持つ「スーベニア」がキーになる曲をソロ曲として歌うのはそれだけでエモなのですが、そんな単純な話ではないでしょう。また、歌詞中の女の子はあくまでも凪自身ではない…と思います。まだ中学生の凪自身が賃貸契約をするとは思えませんし(もちろんオーバーラップする部分は多々ありますが)。そういう意味で、これまでをタイトルや歌詞そのものから直接的に得られる「表向きの意味」とするならば、この曲を凪が歌うことで生まれる意味やそれを通じて我々に伝えたいこと、表現したいことは「裏向きの意味」とでも言えるでしょうか。

 凪には双子の妹の颯がいます。デレステ内での描写、特にO-Ku-Ri-Mo-No Sunday!コミュから、二人はとても仲がよく、いつでも一緒であったことが伺えます。冒頭の記事でも述べているのですが、実は筆者自身双子であり、双子についてはかなりの解像度で理解しているつもりです。双子は基本的には仲がよく、特に子供の頃ほどずっと一緒にいることがほとんどです。またなんでも二人で分け合うことが多く、例えば部屋も二人で一つだったりするわけです。これは凪颯姉妹も同様のようです。そんな久川姉妹は颯のアイドルへの挑戦をきっかけに上京し、最初はアイドルになるつもりはなかった凪はスカウトで、颯は(おそらく)凪と一緒にデビューすることを前提としたオーディション採用という形でアイドルになるわけです。ここで凪は最初アイドルになるつもりはなかったというのが重要で、颯と別の道を歩きたがっていた。結局一緒にアイドルになったわけですが、アイドルとして東京で生活していくために凪は寮での一人暮らしを決意します(O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!コミュ)。やはり、凪は今まで一緒だった颯から独り立ちしたい、という気持ちが強かったのでしょう。結局、寮で凪颯それぞれ別の部屋で一人暮らしを始めるわけです(O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!コミュ、恒常SSR[オフタイム・ナギルーム]久川凪参照)。

 家族、特に双子の妹から離れて一人暮らしをしたがった凪が、一人暮らしを始める女の子の歌を歌う。なんとなくつながってきたのではないでしょうか。つまり「14平米にスーベニア」は、凪自身が曲中の女の子に自身を投影できるように作られている曲と言えるでしょう。一人暮らしを始めて、自分だけの部屋で暮らし始め、思い出を飾り始めた1番の歌詞は、ちょうど今の所デレステ内で描かれている久川凪のアイドル生活そのものだと思います。このことから、まだ試聴では聴けない2番以降は、これからの凪のアイドル生活が投影できるような内容になっているのではないか、と考えています。早くフルで聴きたいですね。

 ここからは少し妄想に片足突っ込むような考察をしていこうと思います。オタクが好きそうなやつ。「14平米にスーベニア」のキーアイテムであるところの「14平米」と「スーベニア」は、凪にとっては何になるのでしょうか。

 まず比較的わかりやすい「スーベニア」。これはド直球そのまま「アイドルとしての経験や思い出」でしょう。曲中では写真というアイテムだったわけですが、まだまだ余白だらけで夢と現実が詰め込める状態でした。つまり、(メタ的には実装から2年以上経ったけど)まだまだアイドルになりたての凪は、例えば自分の歌を多くのファンに聴いてもらうとか、大きい会場で多くのファンの前でライブをするとか、そういった「夢」も、まだまだレッスンを頑張らないといけないとか、ちょっと失敗しちゃうとか、そういった「現実」も詰め込めるわけです。エモですね。

 少しむずかしいのが「14平米」。そのまま受け取るなら寮の自室になりますね。これも間違いではないと思います。ナギナイズしはじめた寮の部屋に、アイドルとしての思い出が詰まったグッズや写真等々を並べて、よりナギナイズしていく。まさに「14平米にスーベニア」です。でもここでもう少し踏み込んでみたいんです。まあほぼ妄想かもしれないですけど。前述したように、曲中の女の子にとってはこれから生活するワンルームは相棒のようなもので、だからこそその部屋を飾り付けることを「スーベニア」と表現したわけですね。相棒。凪にとっての相棒とは?少し前までなら間違いなく双子の妹の颯でした。でも女の子はもう家族から離れて一人暮らしを始めたのです。凪が家族から離れてからの相棒。そう、プロデューサーです。アイドルとしての生活を始めて、「アイドルとしての経験や思い出」というスーベニアを共有し詰め込む相手はプロデューサーなのではないでしょうか。これは、サビの真ん中くらいで「お土産に写真飾ろう、笑ってしまうな、笑っちゃうだろうな」という歌詞のあとに右から「はいっ」と聞こえてくる(イヤホンで聴くとほんとに真横から聞こえてくる)のも、やはり、「14平米」がプロデューサーであることを意味しているのではないでしょうか。というわけで、凪が「14平米にスーベニア」を歌うことで、この曲は「これからプロデューサーと一緒にアイドルとしてやっていきながら思い出を積み重ねていこう」という歌になるわけです。エモエモのエモですね。更にいうとその思い出を「愛すべき夢と現実」、「愛すべき」と歌っているわけですね。泣きそう。泣いた。今まであまりアイドルをやる理由やモチベーションが描かれてこなかった凪ですが、シンデレラマスターという「そのアイドルのための曲」でついにそこに触れられるわけです。とてもフルが楽しみですし、デレステに実装されるときにコミュもとても気になります。待ち遠しいです。

 ちょっと話は変わりますが、部屋に暮らす住人からすれば、部屋とは自分を守ってくれるものです。そのワンルームにプロデューサーを重ねてみているのであれば、凪はプロデューサーに対して並々ならぬ信頼を寄せているのではないでしょうか。あるいは、信頼を通り越して依存している、というところまで行くかもしれません。なにせ寝泊まりする部屋無しに生活するのは困難を極めます。この依存の話は冒頭の記事でも少し触れていて、双子というのは生まれてからずっと一緒に生活しているが故に、そばにいるのが当たり前であり、相手を世話するのも、相手に世話されるのも当たり前になっています。これは体感的にもそうだなと思いますし、O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!コミュでも細かく描写されていて、comic cosmicコミュでも颯視点で描かれています。そんな双子の兄弟から離れるということは、それなりに不安なことです。ましてやまだ中学生。その不安や寂しさを埋めてくれる相手として、凪がプロデューサーに依存していく可能性もあるのかな、と思います。

 ここまで、「14平米にスーベニア」の表裏の意味を考察してきました。「14平米にスーベニア」は、試聴の範囲でこれだけ考察が膨らむ、夢と現実が詰まった素晴らしい曲だなと強く感じています。曲そのものも何度繰り返し聴いても飽きないどころか聴き重ねるたびに良さがわかるスルメ曲という印象ですし、こんな素晴らしい曲を凪に与えてくれた八城雄太さん、emon(Tes.)さん、そしてシンデレラガールズ運営様には感謝しかありません。またもちろんこの曲は久川凪役立花日菜さんが演じ、歌ってくださっているからこそ何倍にも魅力的になっていると思います。ありがとうございます。ここまで読んでくださった皆さんも、もしよろしければフル発売時には購入し聴いていただけたら幸いですし、この曲をきっかけに凪を担当しプロデュースを始めてくださったらとても嬉しいです。